「英語分からなくても、構いまへん」。日本語と英語を交え、観客を巻き込みながら即興コントを披露する大阪の多国籍集団「パイレーツ・オブ・道頓堀」が今月、結成から10年を迎えた。先の読めない展開や、毎回異なる内容に魅せられた常連客で、月に1度の公演はにぎわいを見せる。

「即興で歌にするので、ミュージカルっぽい題を言って」。今月3日、大阪・道頓堀で開かれた10周年記念公演。英国人メンバーのクリス・ローフさん(31)が客席に呼び掛けると「ハムスター食洗機!」と声が飛んだ。

無理難題と思いきや、数秒後、ギターの生演奏とともに舞台の3人が交互に歌いだす。「退屈そうに見えたんだ。僕は食洗機を開け、君は中に入ってこう言った『くそっ、こりゃまずい』」。ハムスターはひどい目に遭うが「でもピッカピカ」との歌詞や妙に真面目なコーラスが続き、会場は爆笑に包まれた。

団体を設立したのは「お笑いが好きで、吉本興業にも応募したけど断られて…」と明かす米国人のマイク・スタッファーさん(35)。2006年に情報誌などで呼び掛け、外国人5人で始めた。現在は米国人やカナダ人、英国人、日本人の12人が所属する。

台本やネタは一切なし。観客から「お題」をもらったら、メンバー同士で打ち合わせすることなく、すぐに始める。演じる役の個性や筋書きをそれぞれが決め、相方と探り合いながらオチを見つけていく。

10年には東京に姉妹グループを立ち上げ、即興コントを用いた企業研修も手掛けるようになった。コントは東京と大阪で毎月最終日曜日に上演中。スタッファーさんは「観客と一体になれる、毎回違うステージを楽しみに来て」と話している。

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http://www.sankei.com/smp/west/news/160725/wst1607250009-s1.html