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社会人 劇団員

オーディションからステージへ:働きながら舞台に立つ劇団員のリアル

パイレーツ・オブ・東京湾は、会社員として働きながら毎月恵比寿のライブハウスで舞台に立つ即興コメディグループです。メンバーはエンジニア、教師、研究者、マーケターなど、ほとんどが演劇未経験からスタートしています。2026年7月5日(日)に渋谷でオーディションを開催します。参加費は無料で、即興やお笑いの経験は一切不要です。この記事では、オーディションから初舞台までの道のりを、実際のメンバーの経験をもとにご紹介します。 

全員、最初は緊張していた

即興コメディのオーディションと聞いて、「自分には無理だ」と思った人は少なくないはずです。実際、パイレーツのオーディションに来るほぼ全員が同じことを感じています。

隣で余裕そうにしている人も、実は内心パニック。笑いでごまかしている人も、本当はドキドキしている。静かにストレッチしている人は、帰りたい気持ちと戦っている最中です。

パイレーツは2010年からオーディションを続けていて、これまで何百人もの応募者を見てきました。共通しているのは、ほぼ全員が「自分は向いていないかもしれない」と思いながら来ていたこと。そして、ほぼ全員が「来てよかった」と言って帰っていったことです。

オーディション自体は、台本なし、予測不能の3時間半。パイレーツが普段やっている即興のゲームやテクニックを一緒に体験してもらいます。評価しているのは「面白いかどうか」ではなく、「聞けるかどうか」「一緒に作れるかどうか」「予想外の展開にどう反応するか」です。

終わった後、ほとんどの人が同じことを言います。「ここ数ヶ月で一番楽しかった。」

初練習:わかるようで何もわからない

合格の連絡が来て、最初の日曜日に練習に行く。ここで新メンバーが必ず感じることが2つあります。「ここに来てよかった」と「自分は何もわかっていない」です。

最初の数週間は情報量に圧倒されます。聞いたこともないゲームのフォーマットを覚え、「タグアウト」と「スウィープエディット」の違いに混乱し、他のメンバーがどうやって場面に入るタイミングを判断しているのか全くわかりません。間違えます。早く入りすぎたり、遅れたり、入れなかったり。セットアップを受けて頭が真っ白になることもあります。 

でも、グループは笑ってくれます。あなたを笑うのではなく、一緒に笑ってくれます。そしてもう一度やります。

新メンバーが驚くのは、技術的な難しさではなく、グループの「文化」です。練習は毎週日曜日。真剣だけど、攻撃的ではない。うまくいかなかった場面には正直にフィードバックがあるけれど、必ず「次はこうしてみたら」がセットで来ます。うまくいった場面は全員で称えます。このフィードバックのサイクルが速いから、成長も速い。

数週間もすると、感覚が変わってきます。場面の「ゲーム」が聞き取れるようになる。次のセリフを計画するのをやめて、本当に「聞く」ようになる。そして初めて、完全に予定外の一言でメンバー全員を笑わせた瞬間、なぜこのグループの全員が毎週日曜日に来続けるのかがわかります。

初ステージ:恵比寿の夜

恵比寿のWhat the Dickens!での初舞台は、忘れられない体験になります。パブは満席。観客はデートのカップル、友人グループ、ふらっと入ってきた観光客、そして毎月来てくれる常連。照明が落ちて、MCが観客にお題を聞く。後ろの席から誰かがとんでもないお題を叫ぶ。そして、始まる。 

観客の前でリアルタイムにコメディを作る感覚は、言葉では説明できません。怖くて、興奮して、その両方が同時に来ます。大ウケする場面もあれば、スベる場面もあります。意味不明なことを言ったのに、なぜかその夜一番の笑いが起きることもあります。場面の途中で相手と目が合い、お互い「この先どうなるか全くわからない」と気づいた瞬間、それが即興の醍醐味です。

公演は日本語と英語で行われます。英語がわからなくても楽しめるゲームもあれば、2つの言語のぶつかり合いを意図的に使うゲームもあります。観客はどちらの言語でもお題を出せるし、場面は自然に切り替わります。英語だけのメンバーも、日本語だけのメンバーもいます。両方使える必要はありません。

ショーの後、メンバー全員でご飯を食べに行きます。新人もベテランも一緒に座って、何がうまくいったか、何が壊れたか、あの瞬間の笑いは最高だったよね、来月はあのゲームをやろう。誰も教えてくれなかったことがあります。このグループが、いつの間にか「自分の居場所」になっているということ。

面白い体験を東京で探しているなら、ここにある

パイレーツのメンバーは、いわゆるプロの芸人ではありません。ニューヨークの演劇学校で学んだ女優が一人いますが、それ以外は全員、普通の仕事をしている普通の社会人です。 

あるメンバーは、学生時代の学芸会以来一度も舞台に立ったことがないエンジニア。別のメンバーは、地元のインプロシーンから来て、日本語と英語の両方で演じる挑戦がしたかった人。コンサルタントとして働きながら「もっと即座に反応できる自分になりたい」と思って入った人。研究者として実験するようにすべてのシーンに取り組む人。スプレッドシートとは全く違う世界が欲しかったマーケティングディレクター。

共通しているのは、バックグラウンドではなく、姿勢です。真剣にバカなことをやる覚悟。毎週日曜日に来る覚悟。それぞれ全く違う人生を送っている人たちが集まり、ウォームアップし、何もないところから何かを作る。10年以上在籍しているメンバーもいれば、入って1年で既にショーの中心にいるメンバーもいます。

グループはシンガポール、マニラ、香港、ハノイ、クアラルンプールなど、国際ツアーも行っています。英語も日本語もわからない観客の前で演じて、それでも笑いが起きる。コメディは言語を超える、ということを身をもって証明してきたグループです。

誰も教えてくれなかったこと

即興コメディを始めると、日曜日以外の日常も変わります。メンバーの多くが、仕事での会議の聞き方が変わったと言います。人前で間違えることへの恐怖が減ったと。頭の中で会話をリハーサルする癖がなくなったと。入って数ヶ月で第二言語で夢を見るようになったという人もいます。

それ以上に、純粋に楽しい。東京では多くのサークルや社会人グループが数ヶ月で自然消滅していく中、パイレーツは15年以上続いています。毎週日曜の練習と毎月のライブだけで。コミットメントは本物ですが、リターンも本物です。ステージに立てる。自由に表現できる。本気で背中を任せられる仲間がいる。運が良ければ、国際ツアーにも行ける。

気軽な趣味ではありません。でも、このグループにいる人たちにとって、1週間で一番いい時間が日曜日の練習です。

オーディション詳細

  • 日付:2026年7月5日(日曜日)

  • 多数のお申し込みをいただいたため、グループにわけて2部制で実施します。

    第1部:12:00〜14:00 

    第2部:14:15〜16:15

  • 場所:東京コメディバー — 東京都渋谷区道玄坂1-5-9 ザ・レンガビル 3F(Google Maps: https://maps.app.goo.gl/bT8s7Wv8YjrvBGTe8

  • 参加費:無料

  • 持ち物:動きやすい服装、筆記用具、飲み物、前向きな気持ち

  • 準備:不要です。台本やネタの用意は一切いりません

即興の知識ゼロでも問題ありません。すべてオーディション当日に教えます。見ているのは「何を知っているか」ではなく、「どう遊ぶか」です。

オーディション前にライブを観に来ませんか 

オーディション前最後のライブは6月28日(日)19:30から、恵比寿のWhat the Dickens!で開催します。チケットには1ドリンク無料サービス付き。この記事で書いたすべて -- 緊張、笑い、言語のぶつかり合い、チームワーク -- を実際に目の前で見ることができます。ライブ観覧はオーディションの審査には一切関係ありません。

ライブ詳細: https://www.piratesoftokyobay.com/shows

あなたのオーディションの物語は、ここから始まる

今、恵比寿のステージに立っている全員が、かつてあなたと同じ場所にいました。この記事を読んで、行こうかどうか迷って、「自分にはまだ早い」と半分思いながら。それでも行った。そして東京での最高の決断の一つだったと言っています。

応募フォームは5分で完了。オーディションは年に一度だけです。

応募フォーム: https://forms.gle/CrJg5D9VVCrmNcMS7

オーディション詳細ページ: https://www.piratesoftokyobay.com/auditions

7月5日に会いましょう。緊張は持ってきてください。あとは私たちがなんとかします。

  • 練習は約2時間で、身体と声のウォームアップ、特定のスキルを鍛える即興ゲーム、そしてタイミングやチームワークを磨くシーンワークという流れで進みます。雰囲気は真剣ですが楽しく、新人もベテランも一緒に練習します。毎回、最後にグループ全体で振り返りを行います。

  • 新メンバーは通常、入って1〜2ヶ月以内にライブに出演します。毎週日曜日の練習でグループのゲームやスタイルを学び、本人とグループの双方が準備できたと感じたタイミングでショーに入ります。できるだけ早くステージに立ってもらうことが目標です。

  • ベテランにも起きることです。即興はチームプレーなので、あなたが固まったら、他のメンバーがすぐにフォローに入ります。タイミングよく登場したり、身体的なオファーを出したり、シンプルな質問で場面を動かしたり。舞台上で固まる恐怖は約3秒で終わり、その後はショー後のご飯で笑い話になります。

  • はい。ショー後には毎月メンバー全員でご飯に行きますし、節目のイベントも一緒に祝います。国際ツアーでは海外を一緒に旅します。多くのメンバーが、このグループを「東京での第二の家族」と表現しています。毎週の練習で培われる信頼が、自然と深い人間関係につながっていきます。